◆365日入門シリーズ
詩情の開拓者、芭蕉に迫る!
芭蕉の開拓した詩情は、時代や価値観の枠を越え、人の心の深いところにまで届き、感動を与える。本書が、その詩情の一端でも読者に伝えることができていたら、幸いである。
十月二十三日
この道や行く人なしに秋の暮 『其便』
「所思」と前書。果てしなく伸びたこの一本道、一人として通う者もないこの道に対するとき、秋の暮の寂寥はますます深まっていく、というのである。「道」には、人生そのもの、そして芸道としての道の意味も含まれる。暗鬱な印象の句だが、「この道や」というきっぱりした上五には、むしろ孤高に生きる矜持が感じられはしないか。この句に触発され、蕪村は「門を出て故人に逢ぬ秋の暮」と詠い、高野素十は「まつすぐの道に出でけり秋の暮」と詠んだ。芭蕉の「道」が、長い時間を貫いて、現代俳句まで続いていることの証だ。
季語=秋の暮(秋)
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